千春先生コラム操体法橋本敬三

こんな簡単なことで

敬三先生の本に家庭で操体法をやって欲しいというくだりがあります。そのやり方が

「あんた、どっちが気持ちいいの、私が痛いところを押さえといてあげるから、気持ちのいい方へ動いてごらんなさい」「どうも俺、背中のこの辺が調子が悪い。こっちへ動かすと痛いから、その時はその反対へ動かせばいいんだな」「私、手伝ってあげるから、うつ伏せになってごらんなさいよ」「じゃ、お願いするかな」「どの辺が痛いのよ、この辺」「ああそこだそこだ」「それじゃ、私がここに手を当ててるから、あなた、息呼き(はき)ながら、痛いのが痛くなくなるようにからだを動かして逃げてみてよ」「こうやってかな、三十六計逃げるにしかずとはこのことか」「どう、とにかく気持ちいい方に逃げればいいのよ、そうそう」「ああ、痛いのがとれてきた、とれてきた」

痛くない方に、自然に動ければ体は改善します。ところが人間は頭で考えたがります。特に現代人は体を使っていないので、自然に反応する動きを見つけるのは大の苦手のようです。温古堂に来られる皆さんにも、動きの方向をちょっとだけアドバイスさせていただくと、「こんな簡単なことでなんでコリがほぐれるのかな?先生の手は特別なの?」といわれることがありますが、私は改善する方向に動くお手伝いをしているだけで、動くのも改善するのもご自身の体の持てる力です。「そうか、では家でも困った時はこれやってみるよ。」「この動きという覚え方は、万能ではありませんよ。その時々体は違うのですから、感覚を磨いて上手に逃げるコツを自分で見つけられるようになりましょう。」

気持ちのよい動きは体をよくするようにからだは設計されているのです。いつでもどこでも感じることにつきます。問題も小さな火種のうちに消せば大きな火事にならずに済みます。

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